ケルト音楽とアイリッシュ音楽は、どちらも美しい旋律と踊りたくなるような独特の雰囲気を持つ音楽ですが、その違いを正確に理解している人は少ないかもしれません。
アイリッシュ音楽とケルト音楽の違いは、アイルランド(アイリッシュな)の音楽なのかケルト文化を持つ場所の(ケルティック)音楽なのかによります。
アイリッシュ音楽はアイルランドの音楽なのに対し、ケルト音楽はアイルランドやスコットランド、ウェールズ、ブルターニュ(フランス)、ガリシア(スペイン)のケルト文化圏の音楽です。
アイリッシュ音楽とケルト音楽は、楽器の違いもありますが、使用する楽器は類似しており、ハープやバグパイプはどちらにも良く使用されています。
ゲームやアニメや映画など様々なコンテンツで使用されるアイリッシュ音楽やケルト音楽、無印良品のBGMとしても身近に聞くことができる音楽です♪
この記事では、アイリッシュ音楽とケルト音楽の違いやそれぞれの特徴などについてご紹介いたします♪それぞれの音楽の違いを知りたい方は必見です。
- アイリッシュ音楽…アイルランドの音楽
- ケルト音楽…アイルランドやスコットランド、ウェールズ、ブルターニュ(フランス)、ガリシア(スペイン)のケルト文化圏の音楽
アイリッシュ音楽とは?

アイリッシュ音楽とは
アイリッシュ音楽とは、アイルランドで生まれた伝統音楽の総称です。
ケルト音楽の一つのジャンルであり、アイルランドの歴史や文化を色濃く反映し、表現しています。
その起源は、古代ケルト人の音楽に遡ると言われていますが、中世以降、様々な音楽的要素を取り入れながら、独自の発展を遂げてきました。
特にダンス音楽としての性質が強く、リールやジグといった曲が多く演奏されます。リズミカルで踊りに合わせて演奏されることが多く、音楽とダンスが密接に結びついている音楽です。
アイリッシュ音楽の演奏スタイルとしては、ユニゾンプレイが特徴で、複数の楽器が同じ旋律を同時に演奏します。また、即興性が強く、演奏者は装飾音を加えたり、即興でバリエーションを付けたりします。
アイルランドの歴史と音楽の関係
アイルランドの歴史は、外部からの侵略や支配、飢饉、独立運動など、苦難の連続でした。
アイリッシュ音楽は、これらの歴史的な出来事や、人々の感情を表現する手段として重要な役割を果たしてきました。特に、独立運動の時代には、愛国心を高める歌や、抵抗の象徴としての音楽が数多く生まれました。
アイリッシュ音楽の代表的なジャンル
アイリッシュ音楽には、様々なジャンルがあります。
- ジグ (Jig): 軽快なリズムの舞曲で、6/8拍子が一般的です。
- リール (Reel): スピーディーな舞曲で、4/4拍子が一般的です。
- ホーンパイプ (Hornpipe): ゆっくりとした舞曲で、4/4拍子が一般的です。装飾音が多く使われます。
- バラード (Ballad): 物語を語る歌で、愛や別れ、歴史的な出来事などを題材にしたものが多いです。
- スローエア (Slow Air): ゆっくりとしたテンポの歌で、感情豊かで美しい旋律が特徴です。
アイリッシュ音楽の特徴
アイリッシュ音楽は、装飾音、変拍子、歌唱法などに特徴があります。
- 装飾音: グレースノートやロールなど、旋律を彩る装飾音が多用されます。これにより、独特のニュアンスや表現力が生まれます。
- 変拍子: 9/8拍子や5/4拍子など、変拍子が使われることがあります。これにより、独特のリズム感が生まれます。
- 歌唱法: 伝統的な歌唱法であるショーン・ノス(Sean-nós)は、装飾音や即興的な要素が多く、感情豊かで表現力豊かな歌い方です。
- 楽器とスタイル: アイリッシュ音楽では、フィドル、ティン・ホイッスル、イーリアン・パイプスなどの楽器が使用されます。これらの楽器が生み出すリズムは、セッションと呼ばれる即興的な演奏会でよく聴かれます。
ケルト音楽とは?

ケルト音楽の定義と起源
ケルト音楽とは、ケルト民族にルーツを持つ音楽の総称です。
ケルト民族は、古代ヨーロッパに広く分布し、独自の文化や言語を持っていました。
現代では、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、ブルターニュ(フランス)、ガリシア(スペイン)など、主に西ヨーロッパの地域にその文化が色濃く残っています。
ケルト音楽は、これらの地域で育まれた多様な音楽の集合体であり、その起源は数千年前まで遡ると言われています。
ケルト民族の歴史と音楽の伝播
ケルト民族は、鉄器文化を持ち、高度な社会構造を築いていましたが、ローマ帝国の拡大やゲルマン民族の移動などにより、徐々にその勢力を失っていきました。
しかし、ケルトの文化は各地に根強く残り、音楽もまた、口承によって大切に受け継がれてきました。中世以降は、キリスト教の影響を受けながらも、独自の音楽文化を形成し、各地で様々な形で発展していきました。
また、ディアスポラ(民族の離散)を通じて、ケルト音楽は世界中に広がり、新たな音楽との融合もしています。
ケルト音楽の多様なジャンル
ケルト音楽は、地域によって様々なジャンルが存在します。
- アイルランド音楽: 最も有名なケルト音楽の一つで、ジグ、リール、ホーンパイプなどの舞曲や、バラード、スローエアなどの歌があります。
- スコットランド音楽: バグパイプが特徴的な音楽で、ハイランド地方の勇壮な音楽や、ローランド地方の洗練された音楽があります。
- ウェールズ音楽: ハープが重要な役割を果たす音楽で、伝統的な歌や舞曲があります。
- ブルターニュ音楽: フランス北西部のブルターニュ地方の音楽で、バグパイプの一種であるビニウや、ボンバルドなどの楽器が使われます。
- ガリシア音楽: スペイン北西部のガリシア地方の音楽で、ガイタと呼ばれるバグパイプが特徴的です。
ケルト音楽の特徴
ケルト音楽は、独特の音階、リズム、歌詞、楽器を持っています。
- 音階: ペンタトニックスケール(五音音階)や、教会旋法(モード)がよく使われます。これにより、独特の浮遊感や哀愁感が生まれます。
- リズム: 複雑なリズムパターンや、変拍子が使われることがあります。特に、舞曲においては、軽快で躍動感のあるリズムが特徴です。
- 歌詞: 自然や愛、故郷への想いを歌ったものが多いです。また、神話や伝説を題材にしたものもあります。叙情的で情感豊かなメロディーが特徴です。
- 楽器: ケルト音楽は、地域ごとに異なる音楽スタイルを持ち、例えばスコティッシュハイランドのバグパイプや、ウェールズのハープなど、地域特有の楽器が使われます。
ケルト音楽は、ケルト文化圏で発展した伝統音楽であり、情緒的なメロディーとリズムが特徴。ケルト音楽もリールやジグといったリズムパターンを多く用い、ダンス音楽として親しまれています。
アイリッシュ音楽とケルト音楽の共通点

ケルト文化圏における音楽の位置づけ
ケルト音楽とアイリッシュ音楽は、どちらもケルト文化圏において重要な役割を担っています。
音楽は、人々の生活や文化と深く結びつき、祭りや儀式、娯楽など、様々な場面で演奏されてきました。
また、口承によって伝えられてきた歴史や物語を保存する役割としても使われて現在まで受け継がれてきました。
使用される楽器の共通点
ケルト音楽とアイリッシュ音楽では、共通して使用される楽器が多くあります。
- フィドル (Fiddle): バイオリンのことですが、ケルト音楽やアイリッシュ音楽では、独特の奏法やチューニングが用いられます。
- バウロン (Bodhrán): フレームドラムの一種で、打楽器としてリズムを刻みます。
- ティン・ホイッスル (Tin Whistle): 縦笛の一種で、素朴で可愛らしい音色が特徴です。
- アコーディオン (Accordion): 比較的新しい楽器ですが、アイリッシュ音楽ではよく使われます。
音楽の形式や構造の類似性
ケルト音楽とアイリッシュ音楽は、音楽の形式や構造にも類似性が見られます。
例えば、AABB形式やAABA形式など、繰り返しの多いシンプルな構成がよく用いられます。また、コールアンドレスポンス(掛け合い)の形式もよく見られます。
ケルト音楽とアイリッシュ音楽の相違点

ケルト音楽とアイリッシュ音楽の歴史的背景の違い
ケルト音楽とアイリッシュ音楽は、歴史的背景に違いがあります。アイルランドは、長年にわたりイギリスの支配下にあり、独立運動やディアスポラ(民族の離散)を経験しました。
これらの歴史的な出来事が、アイリッシュ音楽に大きな影響を与えました。一方、スコットランドやブルターニュなど、他のケルト地域もそれぞれ独自の歴史を持っており、それが音楽に反映されています。
ケルト音楽とアイリッシュ音楽の音楽性の違い
ケルト音楽とアイリッシュ音楽は、音楽性にも違いがあります。
アイリッシュ音楽は、装飾音や変拍子が多く、より感情豊かで表現力豊かな音楽です。
一方、スコットランド音楽は、バグパイプが特徴的で、勇壮で力強い音楽です。ブルターニュ音楽は、ビニウやボンバルドなどの楽器が使われ、独特の音階やリズムを持っています。
ケルト音楽とアイリッシュ音楽の使用される楽器の違い
ケルト音楽とアイリッシュ音楽では、使用される楽器にも違いがあります。アイリッシュ音楽では、フィドル、バウロン、ティン・ホイッスルなどがよく使われますが、スコットランド音楽では、バグパイプ、ブルターニュ音楽では、ビニウやボンバルドなどが特徴的です。
ケルト音楽とアイリッシュ音楽の歌詞や歌唱法の違い
ケルト音楽とアイリッシュ音楽では、歌詞や歌唱法にも違いがあります。アイリッシュ音楽では、英語やゲール語で歌われることが多いですが、スコットランド音楽では、スコットランド・ゲール語やスコットランド語で歌われることがあります。また、歌唱法も地域によって異なり、アイリッシュ音楽のショーン・ノス(Sean-nós)は、装飾音や即興的な要素が多く、独特のスタイルを持っています。

アイリッシュ音楽やケルト音楽を聞くと、踊り出したくなりますよね♪最近では無印良品でも流れていて、居心地が良い印象です♪

アイリッシュ音楽とケルト音楽の楽器の違い

アイリッシュ音楽とケルト音楽は、どちらもアイルランドやスコットランドなどの地域で発展した伝統音楽ですが、使用される楽器の違いについて細かくみていきましょう♪
アイリッシュ音楽の楽器
- フィドル(Fiddle): バイオリンの一種で、アイリッシュ音楽では特に民族音楽としてのスタイルで演奏されます。リズミカルでダンスに適したメロディーを奏でることができます。
- イリアン・パイプス(Uilleann Pipes): アイルランド特有のバグパイプで、肘でふいごを操作して音を出します。独特の響きを持ち、複雑なメロディーを演奏します。
- ティン・ホイッスル(Tin Whistle): 縦笛の一種で、シンプルな構造ながらも高い音域を持ち、アイリッシュ音楽のメロディを奏でるために広く使われています。
- アイリッシュ・ハープ(Irish Harp): アイルランドの国章にも使われるこの楽器は、古くからアイルランドの文化に根付いています。柔らかい音色が特徴です。
ケルト音楽の楽器
- バグパイプ(Bagpipes): ケルト文化圏全体で使用されるバグパイプは、地域によって形状や演奏法が異なります。スコットランドのハイランドパイプやフランスのブルターニュ地方のバグパイプなどがあります。
- ハープ(Harp): ケルト文化の象徴的な楽器で、アイルランドの硬貨や国章にも描かれています。美しいメロディーを奏でることができます。
- コンサーティーナ(Concertina): 小型のアコーディオンで、持ち運びが容易です。ケルト音楽では重要な役割を果たし、多くの場合セッションで使用されます。
- アコーディオン(Accordion): ケルト音楽でもアコーディオンが使われますが、アイリッシュアコーディオンはボタン式であることが多く、独特のサウンドを生み出します。
アイリッシュ音楽やケルト音楽に使用されている楽器は、共通してダンス音楽としてリズム感やメロディーラインが重要視されています。
特に、アイリッシュ音楽は即興演奏や装飾音が強調される傾向があり、そのため同じ楽器でも演奏スタイルに違いが見られます。
また、ケルト音楽はより広範囲な地域から影響を受けているため、多様なスタイルや楽器が存在しているのです。
リコーダーのように気軽に手に入れられることのできるティンホイッスルもありますので、気になる方は挑戦してみてはいかがでしょうか♪

アイリッシュ音楽やケルト音楽が使われている有名な作品

アイリッシュ音楽やケルト音楽は、映画、テレビ、音楽など多くの作品で使用され、その独特のメロディーとリズムが多くの人々に親しまれています。
身近な作品の有名なシーンにも使用されているので、こちらではアイリッシュ音楽やケルト音楽の有名な曲をご紹介しましょう。
アイリッシュ音楽やケルト音楽が使われている映画
- 『タイタニック』: この映画では「ジョン・ライアンズ・ポルカ」というアイリッシュ音楽が使用されています。この曲は日本でも有名で、多くの人がこの映画を通じてアイリッシュ音楽に触れるきっかけとなりました。
- 『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ: 作曲家ハワード・ショアがケルト音楽や北欧音楽の要素を取り入れたサウンドトラックが特徴的です。特に「Concerning Hobbits」には、ティンホイッスルやバイオリンなどのケルト楽器が使用されています。
- 『ラプンツェル』:ディズニー映画のラプンツェルでもケルト音楽が使われています。ラプンツェルが王国に入る際に流れる「王国でダンス」という曲は、アラン・メンケンによって作曲され、楽しい雰囲気をケルトのリズムで表されています。
アイリッシュ音楽やケルト音楽が取り入れられている曲
中島みゆきの「麦の唄」: スコットランドを舞台にしたドラマ『マッサン』の主題歌として使用され、バグパイプやアイリッシュハープが使われています。
BUMP OF CHICKENの「Sleep Walking Orchestra」: ケルト風の旋律が特徴的で、現代のJ-POPにもアイリッシュ音楽の要素が取り入れられています。
アイリッシュ音楽やケルト音楽が使われているゲーム
- 『ファイナルファンタジーIV ケルティック・ムーン』: 植松伸夫が手掛けたこの作品では、アイルランドの伝統音楽が色濃く反映されています。
- 『ゼノギアス アレンジヴァージョン CREID』: 光田康典によるこの作品も、アイルランドや北欧の音楽要素を融合させたものとして知られています。
- 『ゼルダの伝説シリーズ』:ゲーム内で使用される音楽は、アイリッシュ音楽やケルト音楽の要素を取り入れており、これがプレイヤーに異国情緒を感じさせる要因となっています。
アイリッシュ音楽やケルト音楽は、そのリズムやメロディーがダンス音楽としても親しまれ、多くのダンス作品やフェスティバルでも演奏されています。
特にアイリッシュダンスは、アイリッシュ音楽と密接に関連しており、パブやフェスティバルで生演奏されることも多いです。
身近な映画、テレビ、音楽など多くの作品で使用されているアイリッシュ音楽やケルト音楽、無印良品のBGMとしても使用されていることも注目されています。
アイリッシュ音楽とケルト音楽の代表的な曲
アイルランド音楽とケルト音楽の代表的な曲をいくつかご紹介いたします🍀
アイルランド音楽 (Irish Music)の代表曲
- Danny Boy: アイルランド民謡として世界的に有名で、多くのアーティストによって歌われています。美しいメロディーと切ない歌詞が特徴です。
- The Irish Washerwoman: 軽快なメロディーのインストゥルメンタル曲で、アイリッシュ・ダンスの定番曲です。
- The Fields of Athenry: アイルランドの歴史的な出来事を歌った曲で、サッカーの応援歌としてもよく歌われます。
- Spancil Hill: クレア州の美しい風景を歌ったバラードで、情感豊かなメロディーが印象的です。
- Drowsy Maggie: 活気のあるリールで、多くのアイリッシュ・ミュージシャンによって演奏されています。
ケルト音楽 (Celtic Music)の代表曲
アメイジンググレースは日本でもよく使用されている曲なので、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか♪
- Amazing Grace: スコットランドの賛美歌として知られていますが、ケルト音楽の要素も持っています。感動的なメロディーが特徴です。
- Scotland the Brave: スコットランドの愛国歌で、バグパイプの演奏が印象的です。
- The Skye Boat Song: スコットランドの民謡で、チャールズ・エドワード・ステュアート(ボニー・プリンス・チャーリー)の逃亡を描いた歌です。
- Mná na hÉireann (Women of Ireland): アイルランドの作曲家ショーン・オリアダが作曲した曲で、ケイト・ブッシュなど多くのアーティストによってカバーされています。
- An Alarc’h (The Swan): ブルターニュの伝統的な曲で、美しいメロディーと独特のハーモニーが特徴です。
ご紹介した曲は、アイルランド音楽とケルト音楽の多様性と美しさを代表するものです。ぜひ聴いてみてください。
まとめ

- アイリッシュ音楽とケルト音楽には違いがある
- 「アイリッシュ音楽」は、アイルランド特有の伝統音楽
- 「ケルト音楽」はアイルランド、スコットランド、ウェールズ、ブルターニュ(フランス)、ガリシア(スペイン)など、ケルト文化を持つ地域全体の音楽
- アイリッシュ音楽とケルト音楽は使われる楽器も違いがある
- アイリッシュ音楽にはイリアン・パイプス、フィドル、ティン・ホイッスル、アイリッシュハープなどが使われる
- ケルト音楽には、バグパイプ、ハープ、コンサーティーナ、アコーディオンが使われる
- タイタニックやロード・オブ・ザ・リング、ラプンツェルなどにアイリッシュ音楽やケルト音楽は使用されている
- 身近なアニメやJ-pop、ゲーム、お店のBGMにもアイリッシュ音楽やケルト音楽が使用されている
アイリッシュ音楽とケルト音楽には違いがあり、アイリッシュ音楽がケルト音楽の一種でもあることがわかりましたね。
作業用のBGMやお掃除・料理などの家事中のBGMにも最適ですので、ぜひ日常に取り入れてみてください。




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