映画『タイタニック』で、三等船客たちが陽気に踊るあのシーン。そして映画『えんとつ町のプペル』で流れる、心躍る音楽。
実はこの2つ、同じアイルランド民謡「ジョン・ライアンズ・ポルカ」が使われているのをご存じでしたか?
そして、私がこのような音楽のルーツ(ケルトの世界)に惹かれたきっかけは、テレビゲームでした。
小さい頃から親しんだファイナルファンタジーのようなゲームには、北欧神話やケルト文化をモチーフにした世界観が基となっていて、その音楽の雰囲気が大好きだったんです。
好きな映画『ロード・オブ・ザ・リング』の壮大な世界観も、実際に行ったイギリス旅行でのエディンバラで聴いたバグパイプの生演奏も、気づけばケルトの音楽はいつも私の「好き」のそばにありました。
でも、「ケルト音楽」と「アイリッシュ音楽」って、どう違うのでしょう?
映画やゲームで親しんできたあの音楽の正体を、同じように「詳しくないけど好き」という方に向けて、丁寧に調べてまとめました。
アイリッシュ音楽とケルト音楽の違い

先に、いちばん大事な違いをまとめます。
つまり、アイリッシュ音楽はケルト音楽という大きな家族の一員。
「ケルト音楽」という大きな輪のなかに、「アイリッシュ音楽」がすっぽり含まれるイメージです。
| 項目 | ケルト音楽 | アイリッシュ音楽 |
|---|---|---|
| 位置づけ | アイルランド・スコットランド・ウェールズ・ブルターニュ・ガリシアなど、ケルト文化圏全体の音楽の総称 | ケルト音楽の中の、アイルランドの伝統音楽 |
| 主な地域 | 5地域(アイルランド・スコットランド・ウェールズ・ブルターニュ・ガリシア) | アイルランドのみ |
| 代表的な特徴 | 地域ごとに異なる(バグパイプ中心・ハープ中心など) | 陽気でリズミカルなダンス音楽(ジグ・リール) |
| 代表楽器 | バグパイプ(地域で種類が異なる)・ハープなど | フィドル・ティン・ホイッスル・イーリアン・パイプス |
日本・中国・韓国の音楽をまとめて「アジア音楽」と呼ぶのに近い関係、といえばわかりやすいでしょうか。
それぞれ、もう少し詳しく見ていきましょう。
そもそもケルト音楽とは?

ケルト音楽とは、古代ケルト人にルーツを持つ地域で育まれた、伝統音楽の総称です。
ケルト人はかつてヨーロッパ各地に広がっていた民族で、現在もその文化が色濃く残る地域があります。
ケルト文化圏の広がり
主に、次の地域がケルト文化圏とされています。
・アイルランド
・スコットランド
・ウェールズ
・ブルターニュ(フランス北西部)
・ガリシア(スペイン北西部)
これらの地域には、それぞれ独自の言語や伝統音楽が受け継がれています。
「ケルト音楽」は、実はゆるやかな総称
おもしろいのは、演奏家のあいだでは「ケルト音楽」という言葉があまり使われないこと。
実際には「アイリッシュ(アイルランドの音楽)」「ブルターニュ音楽」のように、地域名で呼ばれることが多いようです。
「ケルト音楽」は、それらをふんわりまとめた総称——そう捉えておくと、しっくりきます。
ケルト民族の歴史と音楽の伝播
ケルト民族は、鉄器文化を持ち、高度な社会構造を築いていましたが、ローマ帝国の拡大やゲルマン民族の移動などにより、徐々にその勢力を失っていきました。
しかし、ケルトの文化は各地に根強く残り、音楽もまた、口承によって大切に受け継がれてきました。中世以降は、キリスト教の影響を受けながらも、独自の音楽文化を形成し、各地で様々な形で発展していきました。
ケルト音楽の多様なジャンル
ケルト音楽は、地域によって様々なジャンルが存在します。
- アイルランド音楽: 最も有名なケルト音楽の一つで、ジグ、リール、ホーンパイプなどの舞曲や、バラード、スローエアなどの歌があります。
- スコットランド音楽: バグパイプが特徴的な音楽で、ハイランド地方の勇壮な音楽や、ローランド地方の洗練された音楽があります。
- ウェールズ音楽: ハープが重要な役割を果たす音楽で、伝統的な歌や舞曲があります。
- ブルターニュ音楽: フランス北西部のブルターニュ地方の音楽で、バグパイプの一種であるビニウや、ボンバルドなどの楽器が使われます。
- ガリシア音楽: スペイン北西部のガリシア地方の音楽で、ガイタと呼ばれるバグパイプが特徴的です。
ケルト音楽の特徴
ケルト音楽は、独特の音階、リズム、歌詞、楽器を持っています。
- 音階: ペンタトニックスケール(五音音階)や、教会旋法(モード)がよく使われます。これにより、独特の浮遊感や哀愁感が生まれます。
- リズム: 複雑なリズムパターンや、変拍子が使われることがあります。特に、舞曲においては、軽快で躍動感のあるリズムが特徴です。
- 歌詞: 自然や愛、故郷への想いを歌ったものが多いです。また、神話や伝説を題材にしたものもあります。叙情的で情感豊かなメロディーが特徴です。
- 楽器: ケルト音楽は、地域ごとに異なる音楽スタイルを持ち、例えばスコティッシュハイランドのバグパイプや、ウェールズのハープなど、地域特有の楽器が使われます。
ケルト音楽は、ケルト文化圏で発展した伝統音楽であり、情緒的なメロディーとリズムが特徴。ケルト音楽もリールやジグといったリズムパターンを多く用い、ダンス音楽として親しまれています。

アイリッシュ音楽やケルト音楽を聞くと、踊り出したくなりますよね♪最近では無印良品でも流れていて、居心地が良い印象です♪
アイリッシュ音楽とは?

アイリッシュ音楽は、アイルランドで受け継がれてきた伝統音楽です。
ケルト音楽のなかでも特に人気が高く、世界中で親しまれています。
陽気でリズミカルな「ダンス音楽」
アイリッシュ音楽の魅力は、なんといっても踊り出したくなるような躍動感。
「ジグ」や「リール」と呼ばれるリズムがあり、パブやお祭りでの生演奏でも盛り上がります。
冒頭で紹介した「ジョン・ライアンズ・ポルカ」も、まさにこの陽気なダンス曲の一つ。タイタニックやプペルであの高揚感が生まれるのも納得です。
セッションという即興文化
アイルランドには「セッション」という、演奏者が集まって即興で一緒に演奏する文化があります。
パブに楽器を持ち寄って、いつの間にか音楽が始まる——そんな暮らしのなかから、この音楽は育ってきました。
アイルランドの歴史と音楽の関係
アイルランドの歴史は、外部からの侵略や支配、飢饉、独立運動など、苦難の連続でした。
アイリッシュ音楽は、これらの歴史的な出来事や、人々の感情を表現する手段として重要な役割を果たしてきました。特に、独立運動の時代には、愛国心を高める歌や、抵抗の象徴としての音楽が数多く生まれました。
アイリッシュ音楽の特徴
アイリッシュ音楽は、装飾音、変拍子、歌唱法などに特徴があります。
- 装飾音: グレースノートやロールなど、旋律を彩る装飾音が多用されます。これにより、独特のニュアンスや表現力が生まれます。
- 変拍子: 9/8拍子や5/4拍子など、変拍子が使われることがあります。これにより、独特のリズム感が生まれます。
- 歌唱法: 伝統的な歌唱法であるショーン・ノス(Sean-nós)は、装飾音や即興的な要素が多く、感情豊かで表現力豊かな歌い方です。
- 楽器とスタイル: アイリッシュ音楽では、フィドル、ティン・ホイッスル、イーリアン・パイプスなどの楽器が使用されます。これらの楽器が生み出すリズムは、セッションと呼ばれる即興的な演奏会でよく聴かれます。
アイリッシュ音楽の代表的なジャンル
アイリッシュ音楽には、様々なジャンルがあります。
- ジグ (Jig): 軽快なリズムの舞曲で、6/8拍子が一般的です。
- リール (Reel): スピーディーな舞曲で、4/4拍子が一般的です。
- ホーンパイプ (Hornpipe): ゆっくりとした舞曲で、4/4拍子が一般的です。装飾音が多く使われます。
- バラード (Ballad): 物語を語る歌で、愛や別れ、歴史的な出来事などを題材にしたものが多いです。
- スローエア (Slow Air): ゆっくりとしたテンポの歌で、感情豊かで美しい旋律が特徴です。

ケルト音楽・アイリッシュ音楽の楽器の違いと共通点

ケルト音楽とアイリッシュ音楽は、使う楽器の多くが共通しています。
どちらでもよく使われる楽器
・フィドル…バイオリンと同じ楽器。独特の奏法で軽やかに奏でます
・ティン・ホイッスル…素朴で可愛らしい音色の縦笛。入門者にも人気
・ハープ…アイルランドの象徴的な楽器(硬貨や紋章にも使われています)
・バグパイプ…袋にためた空気で鳴らす笛
地域で違う「バグパイプ」
同じバグパイプでも、地域ごとに種類が異なります。
・アイルランド…イリアン・パイプス(肘で空気を送る独特の奏法)
・スコットランド…ハイランドパイプス(あの勇壮な音色)
・スペイン ガリシア地方…ガイタ
私がエディンバラで聴いたのも、スコットランドのバグパイプ。あの重厚な音が街やお城の広場に響く光景は、今も忘れられません。
ティン・ホイッスルは比較的手に入りやすく、ケルト音楽の入門にもぴったりです。
ケルト音楽の地域ごとの音楽性の違い

同じケルト音楽でも、地域によって雰囲気が変わります。
・アイルランド…陽気でリズミカル。踊りたくなるダンス音楽
・スコットランド…荘厳で叙情的。バグパイプが主役
・ウェールズ…歌を重視。ハープが代表的
・ブルターニュ、ガリシア…独特の音階やバグパイプ(ガイタ)の響き
同じ「ケルトの音楽」でも、地域の個性がにじむのが奥深いところです。
ケルト・アイリッシュ音楽の名曲・アーティスト

「もっと聴いてみたい」という方に、親しみやすい名曲やアーティストをご紹介します。
まずはこの曲・このアーティストから
・ケルティック・ウーマン…『You Raise Me Up』で知られる女性ボーカルグループ。神秘的で美しい歌声はケルト音楽の入り口に最適
・ルナサ、アルタン…アイルランドを代表する実力派。伝統的なアイリッシュ・サウンドを堪能できます
・映画音楽…『タイタニック』『ロード・オブ・ザ・リング』など、名作を彩ったケルトの調べ
初めての方には、いろいろなアーティストを一度に楽しめるコンピレーション(オムニバス)盤もおすすめです。
作業用BGMや、暮らしの音楽にも
ケルト音楽は、その心地よい響きから、読書や作業のBGMとしても人気。
音楽配信サービスなら、ケルト・アイリッシュのプレイリストで気軽に楽しめます。
アイリッシュ音楽やケルト音楽が使われている映画
- 『タイタニック』: この映画では「ジョン・ライアンズ・ポルカ」というアイリッシュ音楽が使用されています。この曲は日本でも有名で、多くの人がこの映画を通じてアイリッシュ音楽に触れるきっかけとなりました。
- 『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ: 作曲家ハワード・ショアがケルト音楽や北欧音楽の要素を取り入れたサウンドトラックが特徴的です。
- 『ラプンツェル』:ディズニー映画のラプンツェルでもケルト音楽が使われています。ラプンツェルが王国に入る際に流れる「王国でダンス」という曲は、アラン・メンケンによって作曲され、楽しい雰囲気をケルトのリズムで表されています。
もっとケルトの世界を知りたい方へ

ケルト音楽の背景には、神話や文字、暮らしの文化が広がっています。
あわせて読むと、あの音楽がもっと味わい深くなりますよ。
【ケルトとは何か(文化・歴史)】
【ケルト文化の魅力!宗教や古代の神々から現代の祝祭まで】
【オガム文字占いはケルトの神秘】
【ルーン文字魔術の神秘!北欧神話と古代の知恵】
アイリッシュ音楽とケルト音楽の違いまとめ

最後に、アイリッシュ音楽とケルト音楽の違いをおさらいします。
・ケルト音楽…ケルト文化圏全体の音楽の総称
・アイリッシュ音楽…そのなかのアイルランドの伝統音楽
・楽器は共通するものが多く、地域ごとに個性がある
映画やゲームで何気なく耳にしていたあの音楽も、こうして知ると、また違って聞こえてくるはず。
あなたのお気に入りの一曲が見つかりますように🧝♀️







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