ラグナロクを生き残る人間は、リーヴとリーヴスラシルの2人です。
神々では、ヴィーザル、ヴァーリ、モージ、マグニが生き残り、ラグナロク後の世界へ進みます。
バルドルとヘズも新しい世界に姿を現しますが、2人は冥界ヘルから戻ってきた神々です。そのため、ラグナロクを生き延びた神々とは分けて考える必要があります。
そして、少し判断が難しいのがニーズヘッグです。
ニーズヘッグは『巫女の予言』の最後に姿を見せるため、ラグナロクを生き残ったドラゴンとして紹介されることがあります。ただし、原典に生き残ったと明記されているわけではなく、その解釈については意見が分かれています。
ニーズヘッグが棲んでいるのは、北欧神話の世界を支える世界樹ユグドラシルの根元です。一般にはトネリコの木と訳されることが多いユグドラシルには、いくつもの世界へ伸びる根があります。
その根の一つが、霧と氷に覆われたニヴルヘイムへと続いています。ニーズヘッグは、ニヴルヘイムにあるフヴェルゲルミルの泉の近くで、ユグドラシルの根をかじり続けている存在です。
北欧神話には、ゲームやアニメで見覚えのある名前が数多く登場します。FF7に登場するニブルヘイムも、北欧神話のニヴルヘイムとよく似た名前ですね。
この記事では、ラグナロクを生き残った人間と神々を整理しながら、ニーズヘッグがどのようなドラゴンなのか、ラグナロク後にも存在していたと考えられる理由を紹介します。
ゲームやアニメの元ネタを探すのが好きな方にも、北欧神話の世界を楽しんでいただけたらうれしいです。
この記事では、ラグナロク後に残る人間と神々を整理しながら、ニーズヘッグを生き残りと呼べるのか、世界樹ユグドラシルとの関係まで紹介します。
個人的には、ラグナロクと聞くとFF8の飛空艇を思い出します。皆さんは、どのゲームやアニメを思い浮かべるでしょうか♪
ラグナロクの生き残りは誰?一覧で確認

最初に、ラグナロク後の世界に登場する人間と神々を一覧で確認してみましょう。
| 分類 | 名前 | ラグナロク後の様子 |
|---|---|---|
| 人間 | リーヴ、リーヴスラシル | ホッドミーミルの森に身を隠し、2人の子孫が新しい世界に増えていく |
| 神々 | ヴィーザル、ヴァーリ | スルトの炎と海に害されず、かつてアースガルズがあったイザヴォルに住む |
| 神々 | モージ、マグニ | 父トールの武器ミョルニルを受け継ぐ |
| 冥界から戻る神々 | バルドル、ヘズ | ラグナロク後、冥界ヘルから戻ってくる |
| 解釈が分かれる存在 | ニーズヘッグ | 『巫女の予言』の最後に、死者を翼に載せて飛ぶ姿で現れる |
「生き残った神」と「ラグナロク後に戻ってきた神」を分けると、全体が分かりやすくなります。
また、ホッドミーミルの森は、リーヴとリーヴスラシルが身を隠した場所の名前です。
ラグナロクを生き残る人間はリーヴとリーヴスラシル

人間の生き残りとして語られるのが、リーヴとリーヴスラシルです。
2人はスルトの炎が世界を焼く間、ホッドミーミルの森に身を隠します。朝露を食べて生き延び、2人から生まれた子孫が新しい世界を満たしていくと伝えられています。
リーヴは「生命」、リーヴスラシルは「生命を受け継ぐ者」などと訳されます。訳し方には幅がありますが、世界が一度滅びても、人間の命が2人から再び続いていく場面にぴったりの名前ですね。
原典で確認できるのは、2人がスルトの炎の間にホッドミーミルの森へ隠れていたことです。「世界で唯一焼け残った場所」とまでは書かれていないため、その点は分けて覚えておくと分かりやすいです。
ラグナロクを生き残る神々

『スノッリのエッダ』でラグナロク後に生きていると語られる主な神々は、ヴィーザル、ヴァーリ、モージ、マグニです。
ヴィーザルとヴァーリ
ヴィーザルとヴァーリは、海にもスルトの炎にも傷つけられず、ラグナロク後の世界に残ります。
ヴィーザルは「沈黙の神」と呼ばれるオーディンの息子です。ラグナロクでは、父オーディンを飲み込んだフェンリルに立ち向かい、その口を引き裂いて倒します。
ヴァーリもオーディンの息子で、バルドルの死に関わったヘズを討つために生まれた神として知られています。
2柱はラグナロクの後、かつてアースガルズがあったイザヴォルの野に住みます。
モージとマグニ
モージとマグニは、雷神トールの息子たちです。
トールはラグナロクでヨルムンガンドを倒しますが、毒を受け、9歩進んだところで命を落とします。その後、モージとマグニが父の武器ミョルニルを受け継ぎます。
強大なトールが倒れた後も、ミョルニルは息子たちの手に残るのですね。
バルドルとヘズは冥界ヘルから戻る
バルドルとヘズも、ラグナロク後の世界に現れます。
バルドルはラグナロクが始まる前に、ロキの策略によって命を落としていました。バルドルを射たのが、盲目の神ヘズです。そのため、2柱は戦いを生き延びた神々とは経緯が異なります。
『スノッリのエッダ』では、バルドルとヘズが冥界ヘルから戻り、ほかの神々と過去の出来事について語り合うとされています。
敵対することになった兄弟が、新しい世界では同じ場所に座るという終わり方も印象に残ります。
ニーズヘッグはラグナロクを生き残ったのか

結論から言うと、ニーズヘッグはラグナロク後も存在したと解釈されることが多いドラゴンです。
北欧神話の歌謡集『古エッダ』に収められた『巫女の予言』では、海から再び大地が現れ、バルドルが戻った後の世界が語られます。そして最後の第66節に、ニーズヘッグが登場します。
そこには、ニーズヘッグがニザフィヨルから飛来し、翼に死者を載せている様子が描かれています。
この順序から、ニーズヘッグもラグナロクを生き延びたと読むことができます。一方で、第66節が終末の場面へ戻ったものだとする解釈もあり、詩の中で生存が明言されているわけではありません。
そのため、この記事では次のように整理します。
- 人間の生き残り:リーヴとリーヴスラシル
- 生き残る神々:ヴィーザル、ヴァーリ、モージ、マグニ
- 冥界から戻る神々:バルドルとヘズ
- 生き残ったと解釈される存在:ニーズヘッグ
「ニーズヘッグは確実に生き残った」と言い切るより、原典にある描写と、その後の解釈を分けて覚えるのが良さそうです。
ニーズヘッグとはどんなドラゴン?

ニーズヘッグは、世界樹ユグドラシルの根元に棲む蛇、またはドラゴンとして語られる存在です。
名前は「悪意をもって打つ者」などと解釈され、ニーズヘグ、ニーズホッグ、ニードホッグと表記されることもあります。
フヴェルゲルミルの泉でユグドラシルの根をかじる
ニーズヘッグが棲むのは、ニヴルヘイムにあるフヴェルゲルミルの泉です。
世界樹ユグドラシルには3本の根があるとされ、そのうち1本がフヴェルゲルミルへ伸びています。ニーズヘッグは根を下からかじり続け、周囲には多くの蛇が棲んでいます。
また、ニーズヘッグは死者の亡骸をかじる存在としても描かれます。ユグドラシルを傷つける蛇であり、死者とも深く結びつく、不気味で神秘的な存在です。
ゲーム『ファイナルファンタジーVII』にも「ニブルヘイム」という地名が登場します。北欧神話のニヴルヘイムとよく似た響きなので、初めて神話を知ったときにFF7を思い出した方もいるのではないでしょうか。
ユグドラシルのワシとリスのラタトスク
世界樹ユグドラシルの頂には1羽のワシがいて、その両目の間にはヴェズルフェルニルという鷹がとまっています。
根元のニーズヘッグと頂のワシの間を走り回るのが、リスのラタトスクです。ラタトスクは互いの悪口を運び、両者の争いをあおります。
ユグドラシル頂上のワシをフレースヴェルグとして紹介する例もあります。ただし、『ギュルヴィたぶらかし』では、このワシの名前は書かれていません。
フレースヴェルグは、天の果てに座り、翼から風を起こすワシの姿の巨人です。ユグドラシルの頂のワシと同一とする説も見かけますが、原典の記述を優先し、この記事では別の存在として扱います。
ちなみに、ラタトスクの名前は「走り回る歯」などと訳されます。世界の終末を語る壮大な神話の中で、リスが悪口を運び続けているという役割が、個人的には少し可愛らしく感じられます♪
神々の最終決戦ラグナロクとは

ラグナロクは、北欧神話で起こる神々と巨人たちの最終決戦です。「神々の運命」や「神々の終焉」と訳され、かつては「神々の黄昏」とも呼ばれました。
戦いの舞台となるのは、ヴィーグリーズと呼ばれる広大な野です。
フィムブルヴェトが訪れる
ラグナロクの前には、フィムブルヴェトという長く厳しい冬が訪れます。
夏を挟まずに3つの冬が続き、人々は争い、世界の秩序が崩れていきます。
『巫女の予言』には剣の時代、斧の時代、風の時代、狼の時代という表現があります。ただし、これらはフィムブルヴェトを構成する3つの冬の固有名として書かれたものではありません。混同しやすい部分なので、分けて覚えておきましょう。
神々と巨人がヴィーグリーズに集まる
やがてフェンリルやロキの拘束が解け、ヨルムンガンドが海から姿を現します。スルトは炎の剣を持ち、ムスペルの軍勢を率いて進みます。
神々もヘイムダルの角笛を合図に集まり、ヴィーグリーズで最後の戦いを迎えます。
- オーディンはフェンリルに飲み込まれる
- ヴィーザルがフェンリルを倒す
- トールはヨルムンガンドを倒した後、毒によって命を落とす
- フレイはスルトと戦って倒れる
- テュールと番犬ガルムは互いに倒れる
- ロキとヘイムダルも相討ちとなる
多くの神々と巨人が命を落とし、最後にはスルトの炎が世界を包みます。大地は海へ沈み、ひとつの時代が終わります。
ラグナロク後の新しい世界

ラグナロクには、世界が焼かれた後の再生まで描かれています。
海へ沈んだ大地は、やがて緑に覆われた姿で再び現れます。種をまかなくても作物が実り、ヴィーザルたちはイザヴォルに集まります。
モージとマグニはミョルニルを受け継ぎ、バルドルとヘズは冥界ヘルから戻ります。太陽には娘がいて、母に代わって空の道を進むとも伝えられています。
そして、人間のリーヴとリーヴスラシルから新しい世代が始まります。
ラグナロクには「滅亡」の印象が強くありますが、物語の最後には再生と継承も描かれているのですね。
世界樹ユグドラシルと9つの世界については、こちらの記事に詳しくまとめています。
ゲームやアニメの元ネタになった名前も多いので、二次元が好きな方にも楽しんでいただけたら嬉しいです♪
ラグナロクやニーズヘッグが登場するゲーム・アニメ

北欧神話の名前は、ゲームやアニメ、漫画にも数多く使われています。元になった神話を知ると、作品の世界観がさらに面白く見えてきますよね。
PS4・PS5『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』
北欧神話の世界を舞台にした『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』。
神々や巨人、生き物たちが北欧神話をもとに描かれ、ラグナロクへ向かう物語をゲームの中で体験できます。映画を観ているような物語と映像も魅力です。
リスのラタトスクも登場しますよ♪
※CERO Zのため、18歳以上が対象です。
漫画・アニメ『終末のワルキューレ』
『終末のワルキューレ』では、神と人類の最終闘争が「ラグナロク」と呼ばれています。
北欧神話をはじめ、世界各地の神々や歴史上の人物が戦う作品です。神々の性質や武器にも神話を思わせる要素があり、元ネタを探しながら楽しめます。
『ファイナルファンタジー』シリーズ
『ファイナルファンタジー』シリーズでは、ラグナロクが剣の名前としてたびたび登場します。
FF8では飛空艇の名前がラグナロク。FF6には「ラグナロック」という召喚獣も登場します。
オーディン、フェンリル、ミッドガルなど、ほかにも北欧神話を思わせる名前が数多く使われています。個人的には、神話を知ってからもう一度ゲームを見直す時間も楽しいです。
『ラグナロクオンライン』
『ラグナロクオンライン』は、ラグナロクの名を冠したMMORPGです。
ニーズヘッグや世界樹イグドラシルなど、北欧神話をもとにした名前が登場します。ゲームで名前を知り、後から神話を調べた方も多いのではないでしょうか。
ラグナロクの生き残りに関するよくある質問

ラグナロクを生き残る人間は誰ですか?
リーヴとリーヴスラシルの2人です。2人はホッドミーミルの森に隠れてスルトの炎を逃れ、その子孫が新しい世界に増えていきます。
ラグナロクを生き残る神は誰ですか?
『スノッリのエッダ』でラグナロク後に残る主な神々は、ヴィーザル、ヴァーリ、モージ、マグニです。バルドルとヘズは冥界ヘルから戻ってきます。
オーディンやトール、ロキは生き残りますか?
オーディンはフェンリルに飲み込まれ、トールはヨルムンガンドの毒で命を落とします。ロキはヘイムダルと相討ちになります。
ニーズヘッグはラグナロクを生き残りますか?
生き残ったと解釈されることが多い存在です。『巫女の予言』の最後に飛ぶ姿が描かれていますが、生存を直接説明する文章はありません。
ラグナロク後の世界はどうなりますか?
海から緑の大地が再び現れ、作物が実ります。生き残った神々と冥界から戻った神々が集まり、リーヴとリーヴスラシルの子孫から人間の新しい時代が始まります。
まとめ

- ラグナロクを生き残る人間は、リーヴとリーヴスラシルの2人
- ヴィーザル、ヴァーリ、モージ、マグニがラグナロク後の世界に残る
- バルドルとヘズは冥界ヘルから戻る
- ニーズヘッグは『巫女の予言』の最後に登場するため、生き残ったと解釈されることが多い
- ニーズヘッグはフヴェルゲルミルに棲み、世界樹ユグドラシルの根をかじる
- ラグナロク後には緑の大地が現れ、人間と神々の新しい時代が始まる
ラグナロクは、多くの神々や巨人が倒れる終末の物語です。その一方で、リーヴとリーヴスラシルが命をつなぎ、若い神々が力を受け継ぐ再生の物語でもあります。
ニーズヘッグが最後に飛ぶ場面も、滅びた世界に悪が残ったのか、死者を運ぶ役目を続けているのか、読み方によって印象が変わります。
ゲームやアニメで見覚えのある名前が、神話の中でどんな役割を持っていたのかを知ると、作品の見え方も少し変わりますよね。
この記事を通して、北欧神話の世界を少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました♪
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参考資料
- 『スノッリのエッダ』「ギュルヴィたぶらかし」
- 『古エッダ』「巫女の予言」



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