人口数百人ほどのこの村では、毎年7月になると「魔女週間(Semana de la Brujería)」というお祭りが開催されます。村に伝わる伝説の魔法使い、ヨハネス・デ・バルゴタにまつわる劇やパレードなどが行われる、地元に根づいたお祭りです。
私は2024年7月、このバルゴタに1週間滞在しました。実はこれが人生初めてのスペイン、そして初めてのヨーロッパ旅行でもありました。観光地としてはほとんど知られていない村ですが、村中が魔女の装飾に彩られる光景や、広場での劇、音楽など、実際に体験してきたことをこの記事でお伝えします。

バルゴタは友人のコーディネートで訪れた村で、正直に言うと訪れるまでどんな場所か想像もつきませんでした。初めてのヨーロッパがいきなりこの小さな村だったので、驚きの連続でしたが、観光地化されていない分、村の人たちの祭りへの熱量や暮らしぶりをそのまま感じられる場所でした。
バルゴタとは?伝説の魔法使いヨハネス・デ・バルゴタの村

バルゴタは、スペイン・ナバラ州のティエラ・エステーリャ(Tierra Estella)地方にある小さな村です。パンプローナやログローニョから車で1時間ほどの、のどかな農村地帯にあります。
この村には、「ヨハネス・デ・バルゴタ(Johanes de Bargota)」と呼ばれる伝説の魔法使い・司祭にまつわる言い伝えが残っています。夜な夜な空を飛んで魔女たちの集会(アケラーレ)に参加していた、頭がないまま眠っていた、といった不思議な逸話が語り継がれており、この伝説が今の「魔女週間」の元になっています。
「魔女週間(Semana de la Brujería)」とは?開催時期と内容

毎年7月に開催される「魔女週間」は、ヨハネスの伝説を軸にした劇、パレード、音楽イベントなどが数日間にわたって行われるお祭りです。私が訪れた2024年は7月13日がメインの開催日で、その前後の日程でも村の装飾を楽しむことができました。
参考までに、2026年は7月17日(金)〜21日(火)の日程で、劇の上演、パレード、魔女ディナー、魔女マーケット、夜の魔術ウォークなどが行われています。年によって日程は変動するため、訪れる際は現地の観光局サイト等で最新情報を確認してください。
観光客向けというより、村の住民自身が劇の出演者になるなど、地域に根ざしたお祭りという印象を受けました。
劇でヨハネスの伝説を実際に見てきた

滞在中、村の広場で上演された劇を実際に見てきました。ヨハネスの伝説を題材にした劇で、村の人たちが出演していました。
日が暮れてくると劇が始まりました。スペイン語なので内容はほとんど理解できませんでしたが、独特の雰囲気と、悪魔や妖精のような存在が登場する様子から、魔女にまつわる物語だということは伝わってきました。劇には村の子どもたちも出演していて、その姿がとても可愛らしかったです。




劇だけでなく、途中にはダンスや歌も織り交ぜられていて、最後まで飽きることなく楽しめました。観光客向けに作られたショーではなく、村の人たちが自分たちの伝説を演じている空気感が印象的でした。
劇が一通り終わると、いろいろなコスチュームに身を包んだ出演者の方たちと一緒に写真を撮ることができました。皆さん快く応じてくださって、旅の良い思い出になりました。
バルゴタの街中が魔女の装飾に彩られる様子

「魔女週間」の期間中、バルゴタの街並みは魔女モチーフの装飾で彩られます。家々の入り口や窓辺に思い思いの飾りつけがされていて、村を歩くだけでもお祭りの雰囲気を感じられました。

装飾している家々を実際に見て回りましたが、正直なところ想像以上でした。家の軒先には魔女のほうきが吊るされ、魔女の人形がぶら下げられている家もあり、魔女の儀式を思わせる祭壇を作っていたり、ハーブをたくさん吊るしていたり、呪文の本がディスプレイされていたりと、どこからが手作りなのか分からないほど村に馴染んでいました。この飾りつけは、それぞれの家が自分たちで用意しているそうです。
家のドアの上にケルト模様のようなものを見つけたこともありました。なぜケルトの模様があるのかは分からずじまいでしたが、魔女伝説とケルト文化の何か繋がりがあるのかもしれないと感じました。
さらに驚いたのが、村の人たち自身も魔女や中世の衣装に身を包んでいたことです。街を歩いているだけで、まるでディズニーの世界に迷い込んだような、それが本当に現実にあることが信じられないような感覚になりました。街全体がまるでテーマパークのように様変わりしていました。









広場では、子どもたちが牛追い祭り(エンシエロ)ごっこのような遊びをしている様子も見かけました。小さい頃からこうして地域の文化に親しんでいるんだな、と感じた場面でした。

観光地のような作り込まれた装飾ではなく、住民それぞれの手作り感があるのがこの村らしいところでした。
バルゴタ広場の伝統料理と演奏【正直な感想】

「魔女週間」のオープニングは、村の中心の広場で行われました。バグパイプやバンジョーの演奏に合わせてダンスをする人たちがいて、一気にお祭りムードが高まりました。
その後、広場では伝統的な食べ物が配られました。パンをただ炒っただけのような、素朴な食べ物でした。

正直にお伝えすると、この時食べた料理は私にはあまり口に合いませんでした。ランチでお腹がいっぱいだったこともありますが、昔からの伝統的な味付けということもあり、質素な味で、なかなか食べ進められませんでした。ただ広場に集まった人たちと一緒に、その食べ物をつまみながら過ごす時間自体は楽しかったです。


味の好みは人それぞれなので、これから訪れる方は「郷土料理=絶対に美味しい」と期待しすぎず、雰囲気を楽しむつもりで行くのがおすすめです。オープニングの演奏とダンスは、素直にとても楽しめました。
バルゴタの夜は賑やかだったけれど…私が見なかった理由

日が落ちてからもお祭りは続き、広場周辺では羊の丸焼きなどが振る舞われていたようです。
私自身は、旅の疲れもあってその日のうちにお風呂に入って早めに休みたいと思い、夜の様子は見に行きませんでした。一緒に行った友人たちは少し夜の雰囲気を見に行っていたようです。今思うと、少しだけでも見ておけばよかったかな、という後悔もあります。
※夜間の様子については伝聞情報のため、詳細は割愛しています。実際に夜のイベントに参加したい方は、現地の案内や地元の方に確認することをおすすめします。

1週間の滞在で毎日いろいろな予定が詰まっていたので、体力配分は今後の課題です。次に行くときは、夜のプログラムも1つは体験してみたいです。

こちらは祭りとは別日の夜のバルゴタ。日常は静かな町。
バルゴタへの行き方・訪れる時期のヒント

バルゴタは小さな村のため、公共交通機関でのアクセスはあまり便利ではありません。私たちは沖縄→羽田→北京→マドリードと乗り継ぎ、マドリード空港から友人がレンタカーを借りて、車でバルゴタまで移動しました。
道中のサービスエリアも、日本の高速道路のSAとは違うローカルな雰囲気があり、立ち寄るだけで映画の中にいるような気分を味わえました。レンタカーでの移動なら、こうした道中の景色も含めて楽しめます。

私たちはバルゴタを拠点に1週間滞在し、ログローニョやサンセバスチャン、ビトリアなど周辺の街へ日帰りで足を延ばしました。周辺の街の様子は別記事でまとめる予定です。

「魔女週間」の日程は年によって変わるため、訪れる際は現地の観光局サイトなどで最新の日程を確認するのがおすすめです。
まとめ|バルゴタは今も伝説が生きる村

・バルゴタはスペイン・ナバラ州の小さな村で、伝説の魔法使いヨハネス・デ・バルゴタの言い伝えが残る
・毎年7月に「魔女週間」が開催され、劇・装飾・音楽など村ぐるみのお祭りが楽しめる
・2024年7月、人生初めてのスペイン・ヨーロッパでこの村に1週間滞在し、オープニングの演奏やダンス、劇の鑑賞、村中の装飾を実際に体験した
・装飾は住民それぞれの手作りで、村の人自身も魔女や中世の衣装を身にまとう
・観光地化されていない分、住民が主役のお祭りの雰囲気をそのまま感じられる村

北欧神話やケルト文化が好きで普段は本の中で神話に触れることが多いのですが、バルゴタでは「今も語り継がれ、演じられている伝説」を目の当たりにできました。有名な観光地ではありませんが、こういう場所にこそ、これからも足を運んでいきたいと思っています。


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